
大図書館の羊飼い【abgktk_0001】
「汐美学園を、もっともっと楽しくしませんか?」何か悪いものでも食べたのか、彼女――白崎つぐみは言った。前振りがあったわけでもない。それ以前に、彼女と知り合いだったわけでもない。唐突に、白崎は言ったのだ。「そういう話なら、生徒会に掛け合った方がいいと思うけど」と、喉まで出かかった言葉を腹の底まで押し戻したのは、俺――筧京太郎の悪癖だった。情に棹させば流される、とは有名な小説の一節だが、しばらく後の俺の心境はまさにそれだ。川の果てまで流れ流され、河口付近を漂っていた俺の周囲には、同じように流された奴らが集っていた。 ▼もっとみる 特集: AUGUST特集