MELLOW「True Colors」発表記念キャンペーン

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アサガオは夜を識らない。【views_0711】

ウミネコの声で目を覚ました。陽射しの射し込む車窓から外を見れば、前日の雨で増水した海上を飛沫を上げながら列車が進んでいた。夏の陽射しは白く、列車の軌跡を辿る曳波(ひきなみ)も白い。空は青、藍、碧。前方にはウミネコの集う穏やかな離島がより一層、緑緑(あおあお)と浮かんでいた。心は躍っているだろうか。それとも不安に圧し潰されそうか。ただ一つ、解(わか)っていることは。あの島で、夜を見ない生活が始まるんだ。雨降る夜の夢(きおく)を思い出す為に。アサガオは夜(アイ)を識(し)らない。 もっとみる
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2045、月より。【萌えゲーアワード2022 サウンド賞 受賞】【views_0751】

──2045年に、人はまだ‘‘心’’を持っているだろうか。2045年。『技術特異点−シンギュラリティ−』が訪れると予見された年。 しかしそんな気配は露も見せず、代わりに人を助けるため生みされたアンドロイドたちは、 6つの世代を追って人間の生活に浸透している途中。「私は、月生まれのアンドロイドです」アンドロイド嫌いの少年「家入操」が地方都市で出会った女性は、月で生まれた最先端のアンドロイド。彼女は人の世界に憧れて研究所を脱走、人間に扮して喫茶店を経営し暮らしていた。異質な人物との出会いを果たした少年は、徐々に街の異様さを知ることになる。正体不明(?)神出鬼没の学生ネットアイドル。超人的な身体能力を持ち、裏の顔を持つ≪聖女/シスター≫。国の暗部組織、公安零課に所属する2人の刑事。若きギャング団を率いる圧倒的カリスマ。街は少年と‘‘誰か’’を、『≪機械仕掛けの運命デア・エクス・マキナ≫』で繋ぎ合わせていく──。 もっとみる
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スカイコード【views_0840】

”希死念慮”――。「この世界から、僕の存在が消えてなくなればいいのに」都内に住む男子学生・『宵宮梯子≪よみやはしご≫』は、学校の花壇に横たわり青空を仰ぎながら、そう願った。耳に突き刺さる蝉の声も、身を焦がす熱い陽射しも。学生たちの喧噪さえ、遠く聞こえた。青く、蒼く、碧≪あお≫に惹かれる――静かな、時間だった。それから1年が経ち、以来不登校になっていた梯子は思い立って家出を決行する。あの日失った、自分の中の何かを取り戻したくて。辿り着いたのは、都内に佇≪たたず≫む巨大な廃墟群。誰にも知られず、縛られず、後も先も考えずにただ毎日を過ごそうと思っていた――のだが。屋上から見る夜空。月に掛けた梯≪はしご≫のように伸びた鉄塔に、一人の少女が座っていた。『天使』――そう名乗った彼女の背中には、やせ細った翼が生えていた。半分だけの、翼。「手伝ってほしいの。私の失くした、羽根探し」星に願うように、月に愛を誓うように。彼女は、祈るように天≪そら≫に手を伸ばす。人を救うはずの天使を、救う手伝いをすることになった梯子。そのために渡された1枚の羽根は、彼に特別な力を与えた。浮足立って一歩踏み外さなければ出逢わなかった相手と、不思議な羽根を探すことになるとは思いもしなかった。なんて、物語≪フィクション≫じみた物語≪エピソード≫。2人の奇妙な共同生活≪はねさがし≫は、宵の訪れと共に始まった。 もっとみる